ヴォクシーって燃費が悪いのかな…?
とくに家族で使う車を選ぶとき、維持費に直結する燃費性能は見逃せないポイントです。
この記事では、カタログ値だけでは見えてこないヴォクシーの実際の燃費性能を詳しく検証します。
新型ヴォクシーのハイブリッドモデルはどれだけ走るのか、ガソリン車とどう違うのか、そして競合するミニバンと比べてどうなのか。多角的な視点から、データを基に分析していきます。
ヴォクシーの燃費が悪いのは誤解?データを元に徹底検証
- ヴォクシーの実燃費
- リッター何キロ走る?
- 新型ヴォクシーは燃費が悪いのか
- ガソリン車の実力【燃費】
- ハイブリッド車の性能【燃費】
- ハイブリッドは燃費悪い?
ヴォクシーの実燃費

ヴォクシーの燃費について「悪い」というイメージを持つ方もいますが、実際のところミニバンというカテゴリーの中では優れた燃費性能を持っています。
もちろん、燃費は運転スタイルや走行環境に大きく左右されるため、一概に「良い・悪い」と断言することはできません。しかし、オーナーからの報告を集計した実燃費データを見ると、ヴォクシーの本当の実力が明らかになります。
具体的には、グレードによって実燃費の傾向がはっきりと分かれます。動力性能と燃費を両立したハイブリッド車と、コストパフォーマンスに優れたガソリン車では、当然ながら数値に差が生まれます。以下の表は、多くのオーナー報告から算出した実燃費の平均的な目安です。
グレード | 実燃費の目安 |
---|---|
ハイブリッド車 | 15.8km/L ~ 17.9km/L |
ガソリン車 | 8.2km/L ~ 13.3km/L |
この数値を見ても分かる通り、特にハイブリッド車はミニバンとして非常に優秀な実燃費を記録しています。一方でガソリン車は、市街地走行が多いと10km/Lを下回ることもあり、この点が「燃費が悪い」と言われる一因かもしれません。
リッター何キロ走る?

「結局、ガソリン1リッターで何キロ走れるのか」という疑問は、車を選ぶ上で最も基本的かつ重要なポイントです。前述の通り、ヴォクシーの燃費はグレードや走行条件によって変動しますが、より具体的なイメージを持つために数値を整理します。
まず、メーカーが公表しているカタログ燃費(WLTCモード)は以下の通りです。
- ハイブリッド車(2WD):23.0km/L
- ガソリン車(2WD):15.0km/L
これは国が定めた測定方法による理想的な数値であり、実燃費は通常この7割~8割程度になるのが一般的です。この計算に基づくと、リッターあたりの走行距離の目安は以下のようになります。
実燃費での走行距離目安
ハイブリッド車の場合:
実燃費が平均16.5km/Lだと仮定すると、ガソリン1リッターで約16.5km走行可能です。市街地や短距離の移動ではこれより少し落ち、高速道路などでは20km/L近くまで伸びることもあります。
ガソリン車の場合:
実燃費が平均11km/Lだと仮定すると、ガソリン1リッターで約11km走行可能です。こちらも走り方次第で大きく変動し、特に夏場のエアコン使用時や渋滞路では7~8km/L程度まで落ち込むケースも見られます。
このように、同じヴォクシーでもハイブリッド車とガソリン車では、1リッターあたりの走行距離に5km以上の差が出る可能性があることを理解しておくことが大切です。
新型ヴォクシーは燃費が悪いのか

2022年に登場した現行モデルの新型ヴォクシー(90系)は、燃費性能が大幅に向上しています。にもかかわらず、「新型は燃費が悪い」と感じる声が一部にあるのはなぜでしょうか。
その理由は主に2つ考えられます。
カタログ燃費とのギャップ
新型ヴォクシーのハイブリッド車は23.0km/Lという非常に高いカタログ燃費を誇ります。この数値を期待して購入すると、実燃費である16~18km/Lという結果に「思ったより伸びない」と感じてしまうことがあります。
ミニバン特有の燃費低下要因
車両重量が重く、空気抵抗も大きいため、ストップ&ゴーの多い市街地や短距離の送迎などでは燃費が伸び悩む傾向にあります。これは新型になっても変わらないミニバン特有の性質です。
しかし、客観的に見れば、新型ヴォクシーの燃費はMクラスミニバンの中でトップクラスの性能です。先代の80系と比較しても、特にハイブリッドシステムやエンジンの効率が改善され、実燃費は着実に向上しています。同クラスのライバル車と比較しても、燃費面で劣ることはありません。
結論として、「新型ヴォクシーの燃費が悪い」という評価は、高い期待値とのギャップや、ミニバン特有の走行条件によるものであり、車両自体の燃費性能が低いわけではないと言えます。
ガソリン車の実力【燃費】

ヴォクシーのガソリン車は、車両価格がハイブリッド車に比べて手頃な点が大きな魅力です。では、その燃費性能はどの程度なのでしょうか。
現行モデル(90系)のガソリン車のカタログ燃費(WLTCモード)は14.3km/L~15.0km/Lです。自然吸気の2.0Lエンジンを搭載するミニバンとしては、こちらも十分に良好な数値と言えます。
実際のオーナー報告に基づく実燃費は、平均するとおよそ10km/L~13km/Lの範囲に収まることが多いようです。
ガソリン車の燃費が変動しやすい状況
- 市街地走行:信号や渋滞による発進・停止の繰り返しは、最も燃費が悪化しやすい状況です。街乗りメインの場合、実燃費は10km/L前後になることを想定しておくと良いでしょう。
- 多人数乗車や重い荷物の積載:車両全体の重量が増えるため、エンジンへの負荷が大きくなり燃費が低下します。
- エアコンの多用:特に夏場はコンプレッサーを動かすためにエンジンパワーが使われ、燃費が1~2割程度悪化することがあります。
ガソリン車を選ぶ際は、初期費用を抑えられるメリットと、ハイブリッド車に比べて燃料代がかかるデメリットを天秤にかける必要があります。年間走行距離が少ない方や、高速道路の利用がメインの方であれば、ガソリン車でも十分に経済的な選択となり得ます。
ハイブリッド車の性能【燃費】

燃費性能を最優先するなら、ヴォクシーではハイブリッド車が最も優れた選択肢となります。現行モデル(90系)のハイブリッドシステムは、先代からさらに進化を遂げ、モーターとエンジンの連携がよりスムーズかつ効率的になりました。
カタログ燃費(WLTCモード)は22.0km/L~23.0km/Lと、このクラスのミニバンとしては驚異的な数値を実現しています。
そして、注目すべきは実燃費です。多くのオーナーが報告する平均実燃費は、約15.8km/L~17.9km/Lと非常に高い水準を維持しています。
ハイブリッド車が得意な走行シーン
市街地走行(ストップ&ゴー)
減速時に回生ブレーキで発電し、発進時はモーターが力強くアシストするため、ガソリン車が苦手とする渋滞や街中でも燃費が落ちにくいのが最大の特徴です。条件が良ければ16km/L以上を維持することも難しくありません。
郊外路・巡航走行
一定速度での走行では、エンジンを効率の良い回転数で運転し、時にはモーターのみで走行(EV走行)することもあります。そのため、郊外の道をスムーズに走るような状況では、実燃費が20km/Lに迫ることもあります。
初期費用はガソリン車より高くなりますが、年間走行距離が多い方ほど燃料代の差額で元を取りやすくなります。静粛性の高さや、滑らかな加速性能といった走り心地の良さも、ハイブリッド車ならではの大きなメリットです。
ハイブリッドは燃費悪い?

前述の通り、ヴォクシーのハイブリッド車はミニバンとして非常に優れた燃費性能を持っています。しかし、それでも「ハイブリッドなのに燃費が悪い」という声が聞かれることがあります。これは一体なぜでしょうか。
その原因の多くは、乗り方や環境がハイブリッドシステムのメリットを活かしきれていないケースです。
ハイブリッドでも燃費が伸び悩む原因
- 急なアクセル操作:急発進や急加速を繰り返すと、エンジンが頻繁に作動し、モーターアシストの恩恵を受けにくくなります。燃費を意識するなら、ふんわりとアクセルを踏む「エコドライブ」が基本です。
- 極端な短距離利用:エンジンが十分に暖まる前に目的地に到着するような、数分程度の移動ばかりだと、システム全体の効率が上がらず燃費が伸びません。
- 高速道路での高速度走行:時速100kmを超えるような高速巡航では、主にエンジンが主役となります。そのため、モーター走行のメリットが薄れ、燃費の伸びが鈍化する傾向があります。
- 冬場の低温環境:外気温が低いと、バッテリー性能が低下したり、暖房のためにエンジンが作動する時間が長くなったりするため、燃費が悪化しやすくなります。
つまり、ヴォクシーのハイブリッドシステムの性能が悪いわけではなく、乗り方次第で期待した燃費が出ないことがある、というのが実情です。ハイブリッドの特性を理解し、少し運転を工夫するだけで、その優れた燃費性能を十分に引き出すことが可能です。
80系(旧型)ヴォクシーの燃費は悪い?歴代モデルと改善策
- 80系ヴォクシーの燃費【ガソリン車の場合】
- 80系ヴォクシー燃費【ハイブリッドの実力】
- 80系ヴォクシーの燃費をアップさせる方法
- ボクシーの燃費を歴代モデルで比較
- ノアとヴォクシーどっちの燃費がいい?
80系ヴォクシーの燃費【ガソリン車の場合】

中古車市場でも人気の高い先代モデル、80系ヴォクシー(2014年~2021年)。このモデルのガソリン車の燃費性能も気になるところです。80系後期のカタログ燃費(WLTCモード)は、約12.7km/L前後となっています。
実際のオーナー報告に基づく実燃費は、平均して約10km/L~13km/L程度が多く、市街地走行が中心の場合は10km/Lを下回ることも珍しくありません。
現行の90系ガソリン車(実燃費10~13km/L)と比較すると、実燃費の平均値に大きな差はありません。ただし、90系はエンジンやトランスミッションの改良により、特に発進時の滑らかさや走行中の効率が向上しているため、同じような運転をしても新型の方がやや燃費が良い結果になる傾向があります。
80系ヴォクシーのガソリン車は、年式や走行距離が進んでいる車両も多いため、燃費性能を維持するためには定期的なメンテナンスがより重要になります。特にエンジンオイルやエアフィルターの交換は、燃費に直接影響を与えるため、こまめにチェックすることをおすすめします。
80系ヴォクシー燃費【ハイブリッドの実力】

80系ヴォクシーで初めて本格的なハイブリッドシステムが搭載され、ミニバンの燃費競争をリードする存在となりました。その実力は現在でも十分に通用するレベルです。
80系後期のハイブリッド車のカタログ燃費(WLTCモード)は約19.0km/Lです。現行の90系(23.0km/L)には及ばないものの、当時としては非常に高い数値でした。
そして、気になる実燃費は、多くのユーザーレポートで約15.7km/L~17.9km/Lの範囲で報告されています。これは現行モデルと比較しても遜色ない、非常に良好な数値です。
驚くべきことに、80系と90系のハイブリッドの実燃費には、実はそこまで大きな差がないという報告が多いです。これは80系のハイブリッドシステムの完成度がもともと高かったことを示しています。中古でヴォクシーのハイブリッドを狙うなら、80系は非常にコストパフォーマンスの高い選択肢と言えるでしょう。
もちろん、90系はバッテリーや制御システムが最新化されているため、より厳しい条件下での燃費の落ち込みが少ないなど、細かな点で進化しています。しかし、日常的な利用シーンにおいては、80系ハイブリッドでも十分に満足できる低燃費を実現できます。
80系ヴォクシーの燃費をアップさせる方法

中古で購入した80系ヴォクシーの燃費が思ったより伸びない、と感じている方もいるかもしれません。しかし、いくつかのポイントを意識するだけで、燃費を改善させることは十分に可能です。ここでは、誰でも簡単に実践できる燃費アップの方法をいくつかご紹介します。
1. 運転方法の見直し
最も効果的なのが、運転の仕方を工夫することです。急発進・急加速・急ブレーキを避ける「三急」運転をやめ、穏やかなアクセルワークと早めのブレーキを心がけるだけで燃費は大きく変わります。特にハイブリッド車の場合は、回生ブレーキを上手に使うことで、効率よくバッテリーを充電できます。
2. タイヤの空気圧を適正に保つ
タイヤの空気圧が低いと、転がり抵抗が増えて燃費が悪化します。月に一度はガソリンスタンドなどで空気圧をチェックし、運転席のドア付近に貼られている指定空気圧に調整しましょう。これは簡単ながら効果の大きいメンテナンスです。
3. 不要な荷物を降ろす
車は軽ければ軽いほど燃費が良くなります。使わないゴルフバッグやキャンプ用品などを積みっぱなしにしていませんか?100kgの荷物を降ろすと燃費が約3%改善するとも言われています。車内を整理整頓し、不要な荷物は降ろす習慣をつけましょう。
4. エンジン内部の洗浄(燃料添加剤の活用)
走行距離が50,000kmを超えているような車両の場合、エンジン内部にカーボンなどの汚れが溜まり、燃焼効率が低下している可能性があります。市販の燃料添加剤を定期的に使用することで、これらの汚れを除去し、エンジン本来の性能を取り戻して燃費が改善する場合があります。
燃費向上グッズも多数販売されていますが、効果が不明確なものも少なくありません。まずは上記のような基本的なポイントを実践し、車のコンディションを整えることが燃費アップへの一番の近道です。
ボクシーの燃費を歴代モデルで比較

ヴォクシーは世代を重ねるごとに、どのように燃費性能を向上させてきたのでしょうか。歴代モデルの燃費を比較することで、技術の進化が見えてきます。
モデル世代 | 特徴的な燃費(カタログ値) | 実燃費(目安) |
---|---|---|
4代目(90系, 2022年~) | ハイブリッド:23.0km/L ガソリン:15.0km/L | ハイブリッド:約16~18km/L ガソリン:約10~13km/L |
3代目(80系, 2014~2021年) | ハイブリッド:19.0km/L (WLTC) ガソリン:12.7km/L (WLTC) | ハイブリッド:約15~17km/L ガソリン:約10~12km/L |
2代目(70系, 2007~2014年) | ガソリン:14.0km/L (10・15モード) | 約8~11km/L |
初代(60系, 2001~2007年) | ガソリン:14.0km/L (10・15モード) | 約7~10km/L |
※古いモデルのカタログ燃費は現在のWLTCモードと測定基準が異なるため、単純比較はできません。
この表から分かるように、3代目の80系でハイブリッドが導入されたことで、燃費性能が飛躍的に向上しました。そして、現行の90系ではハイブリッドシステムとガソリンエンジン双方の効率がさらに磨き上げられ、ミニバンの燃費性能を新たな次元へと引き上げています。
初代や2代目のモデルは、現在の基準で見ると燃費が良いとは言えませんが、当時はバルブマチックなどの新技術でクラストップレベルの燃費を誇っていました。ヴォクシーは、常にその時代の最先端の環境技術を取り入れてきたモデルであることが分かります。
ノアとヴォクシーどっちの燃費がいい?

ヴォクシーを検討する際、必ず比較対象となるのが兄弟車である「ノア」です。エクステリアデザインの方向性は異なりますが、基本的なプラットフォームやパワートレインは共通です。では、燃費性能に違いはあるのでしょうか。
結論から言うと、どちらもほぼ同じ燃費性能ですが、カタログスペック上はわずかにノアの方が良い数値となっています。
カタログ燃費の比較(2WD 最良値)
- ハイブリッド車
- ノア:23.4km/L
- ヴォクシー:23.0km/L
- ガソリン車
- ノア:15.1km/L
- ヴォクシー:15.0km/L
この本当にわずかな差は、主に車両重量の違いによるものとされています。ノアには、ヴォクシーにはないエアロパーツ非装着の標準グレードが設定されており、その分わずかに車重が軽いことが燃費に影響しています。
しかし、0.1km/L~0.4km/Lという差は、日常の運転で体感できるレベルではありません。タイヤの種類や空気圧、積んでいる荷物の量といった要因の方が、よほど燃費に大きく影響します。そのため、ノアとヴォクシーのどちらを選ぶかは、燃費性能で判断するのではなく、純粋にデザインの好みやグレードの選択肢で決めて問題ないでしょう。
結論:「ヴォクシーの燃費は悪い」は間違い
この記事では、様々な角度からヴォクシーの燃費性能について解説してきました。最後に、記事全体の要点をリスト形式でまとめます。
- 「ヴォクシーの燃費が悪い」という噂は主にガソリン車の市街地燃費やカタログ値とのギャップが原因
- ミニバンというクラスの中ではヴォクシーの燃費はトップクラスに良い
- 新型(90系)ハイブリッドの実燃費は平均16km/L~18km/L前後が目安
- 新型(90系)ガソリン車の実燃費は平均10km/L~13km/L前後が目安
- ハイブリッド車はストップ&ゴーの多い街中でも燃費が落ちにくい
- ガソリン車は高速道路など巡航走行が得意
- 先代(80系)ハイブリッドも実燃費は現行モデルと遜色ないレベル
- 80系ガソリン車も実燃費は現行モデルと大きな差はない
- 穏やかな運転やタイヤの空気圧チェックで燃費は改善できる
- 不要な荷物を降ろすことも燃費アップに効果的
- ヴォクシーは歴代モデルを通して常に燃費性能を向上させてきた
- 兄弟車のノアとの燃費差はごくわずかで体感できるレベルではない
- 燃費で選ぶならノアかヴォクシーかよりハイブリッドかガソリンかが重要
- 燃費を最優先するなら新型ヴォクシーのハイブリッドが最もおすすめ
- 年間走行距離が少ないならガソリン車も経済的な選択肢になりうる