ジムニーノマドは「パワー不足じゃないかな?」という疑問を抱く方もいるはず。
5ドア化で居住性は向上したものの、車体延長による約100kgの重量が増えました。
ジムニーシエラと同じ1.5Lエンジン(K15B型)を搭載しているため、特定の走行シーンでは力不足を感じる可能性がありす。
本記事ではノマドのパワー不足の実態を調査し、原因と対策、将来展望について解説します。エンジン性能と車重のバランスがもたらす影響と実用的な解決策も紹介します。
ジムニーノマドのパワー不足と非力さの実態
- ノマドのエンジン性能と他車との比較
- 重量増加がもたらす影響とは
- 5ドア化が乗り心地に与えた変化
ノマドのエンジン性能と他車との比較

ジムニーノマドは1.5L直列4気筒エンジン(K15B型)を搭載しており、最高出力102ps、最大トルク13.3kgf・m(130Nm)という数値を持っています。この性能を他車と比較すると、いくつかの特徴が見えてきます。
まず、同じエンジンを搭載するジムニーシエラと比べると、出力数値自体は同じですが、ノマドは約100kg重いという点が大きな違いです。このため、同じエンジンでありながら、加速感や燃費性能では若干不利な立場に立たされています。
一方で、一般的なSUVと比較すると、ジムニーノマドのエンジンは小型で軽量な印象です。例えば、トヨタ・ハリアーのNAエンジン車と比較すると、4WDのWLTCモード燃費がハリアーは14.7km/Lであるのに対し、ノマドのAT車は13.6km/Lと若干劣ります。
また、トランスミッションは5速MTと4速ATが用意されていますが、特にAT車では燃費が13.6km/Lとなっており、シエラよりも燃費性能が落ちる結果となっています。
このように、ジムニーノマドのエンジン性能は、同じプラットフォームを共有するシエラと比べても、重量増加によって相対的にパワー不足感が強まっている状況です。特に重い荷物を積んだり、多くの乗客を乗せた状態での走行では、このパワー不足がより顕著に感じられることがあります。
ただし、パワー不足という評価は乗り方や使い方によって感じ方が異なります。通常の街乗りでは十分な性能を発揮しますが、山岳地域や雪道での4WD走行時には、より強いパワーが欲しくなる場面も出てくるでしょう。
重量増加がもたらす影響とは
ジムニーノマドはジムニーシエラと比較して約100kgの重量増加があり、この増加がさまざまな面で車の性能に影響を与えています。なぜこれほどの重量増加が生じたのでしょうか。
主な要因はボディの延長です。ノマドはシエラに比べて全長が340mm延長され、ホイールベースも2590mmに拡大されています。この延長によって、ラダーフレームやボディパネルの追加が必要となり、重量が増加しました。また、リアシートの居住性向上やラゲッジルームの容量拡大など、快適性を高めるための追加装備も重量増加に貢献しています。
この重量増加は、実際の走行時に以下のような影響を与えています。
まず、燃費の低下が挙げられます。WLTCモードではシエラの15.4km/Lに対し、ノマドは14.9km/L(MT車)と若干悪化しています。これは同じエンジンで余分な重量を動かす必要があるためです。
次に、小回りの悪化です。車体が大きくなったことで、特に狭い道路や駐車場での取り回しが若干難しくなっています。また、オフロード走行時にはランプブレークオーバーアングルの減少により、障害物との接触リスクが高まる可能性があります。
しかし、スズキはこれらの影響を最小限に抑えるための対策も講じています。例えば、ラダーフレームにクロスメンバーを追加して強度を高めたり、プロペラシャフトの直径を太くして重量増に対応したりしています。
このように、ノマドの重量増加は避けられない変化ですが、快適性と居住性を向上させるという大きなメリットをもたらす一方で、パワー不足感の一因となっていることは否めません。
5ドア化が乗り心地に与えた変化

ジムニーノマドの5ドア化は、乗り心地に大きな変化をもたらしました。最も顕著な変化は、後席の居住性向上と乗り降りのしやすさです。
5ドア化によって、後席への出入りが格段に容易になりました。3ドアモデルでは前席を倒して後部に乗り込む必要がありましたが、ノマドでは独立したドアから直接アクセスできるようになっています。また、膝前スペースが広がったことで、長時間のドライブでも快適に過ごせるようになりました。
後席のシートクッションも厚くなり、座り心地が向上しています。さらに、ドア内張りの形状や開口部が工夫されており、乗り降りがより簡単になっています。これらの改良により、ファミリーユースやアウトドア活動での使い勝手が大幅に向上しました。
一方で、5ドア化による車体の延長は、いくつかの負の側面ももたらしています。ラダーフレーム構造の影響で、舗装路では車体の揺れを感じやすくなっています。また、ホイールベースの延長により、狭い道での取り回しが従来のジムニーと比べて難しくなりました。
直進安定性は向上している反面、オフロードでの機動性は若干低下しています。急な坂道や険しい地形での走行時には、車体の長さがマイナスに作用する場面もあるでしょう。
これらの変化は、ジムニーの使用目的によって、メリットにもデメリットにもなり得ます。日常使いや長距離ドライブを重視するユーザーにとっては大きな改善ですが、オフロード走行を主目的とするユーザーには、一部の性能面での妥協点となっているかもしれません。
ジムニーノマドの非力さを補う対策と将来性
- ノマドの悪路走破性能と他ジムニーとの比較
- ターボ仕様が今後出る可能性
- パワー不足を感じる場面と対策
ノマドの悪路走破性能と他ジムニーとの比較

ジムニーノマドの悪路走破性能は、従来のジムニーと比較するといくつかの違いがあります。この違いを理解することで、オフロード走行を楽しむユーザーにとって重要なポイントが見えてきます。
まず、ホイールベースの延長が最も大きな影響を与えています。ノマドはジムニーシエラに比べてホイールベースが340mm長くなっています。これにより直進安定性は向上しましたが、オフロードでの取り回しは若干難しくなりました。特に狭い山道や急カーブが連続するような場所では、従来のジムニーの方が優位性を持っています。
また、ランプブレークオーバーアングルにも注目すべき違いがあります。ノマドはシエラよりもこの角度が小さく(国内仕様で25°)、高低差のある地形では障害物に車体中央部が接触しやすくなっています。オフロードでは「亀の子状態」と呼ばれる、車体が地面に接触して動けなくなる状況に陥りやすいという点は、注意が必要です。
一方で、最低地上高については両車とも同じ210mmを確保しており、基本的な障害物の乗り越え能力に差はありません。また、4WDシステムもパートタイム4WDを採用しており、悪路での駆動力と安定性は高い水準を維持しています。
このように、ノマドはシエラと比較してオフロード性能に若干の制約がありますが、リフトアップやタイヤ大径化などのカスタムによって、これらの弱点を補うことも可能です。実際に、オフロード走行を重視するユーザーはこうしたカスタムを施すことで、悪路走破性能を向上させています。
結局のところ、ノマドの悪路走破性能は従来のジムニーよりも若干劣るものの、基本的な性能は十分に保持されています。日常使いと悪路走破性能のバランスを重視するユーザーには、むしろ理想的な選択肢となるでしょう。
ターボ仕様が今後出る可能性

ジムニーノマドのパワー不足を解消する可能性として、多くのファンが期待しているのがターボエンジン搭載モデルです。現状のノマドにはターボエンジンは搭載されていませんが、将来的にはターボ仕様が登場する可能性があります。
注目すべき情報として、2026年に予定されている「新型ジムニーノマドスポーツ」の存在があります。このモデルは、最大出力140PS、最大トルク23.5kgf・m(約235Nm)のターボエンジンを搭載する予定と伝えられています。現行モデルの102PSと比較すると、約37%もパワーアップすることになり、山岳地域や雪道での走行性能が大幅に向上することが期待できます。
また、スズキは将来的に48Vマイルドハイブリッドシステムをジムニーノマドに搭載する可能性も示唆しています。このシステムが導入されれば、エンジン性能の向上だけでなく、燃費改善にも貢献するでしょう。
ただし、これらの情報はまだ確定したものではなく、具体的な発売時期や詳細なスペックについては公式発表を待つ必要があります。また、ターボエンジン搭載により車両価格が上昇する可能性もありますので、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとっては検討ポイントとなるでしょう。
このように、ジムニーノマドのターボ仕様は近い将来に登場する可能性が高く、現行モデルのパワー不足に不満を感じているユーザーにとっては朗報となりそうです。特に山岳地域での使用や重い荷物を積んでの走行を想定しているユーザーは、ターボモデルの登場を待つ価値があるかもしれません。
一方で、街乗りが主な用途であれば、現行の自然吸気エンジンでも十分な性能を発揮します。使用シーンに合わせた選択が重要です。
パワー不足を感じる場面と対策

ジムニーノマドのパワー不足が特に顕著に感じられるのは、特定の走行シーンです。これらの状況を把握し、適切な対策を講じることで、より快適なドライブ体験を得ることができます。
まず、パワー不足を最も感じやすいのは山岳地域での走行時です。急な上り坂では、ノマドの1.5Lエンジンは苦労することがあります。特に4WD走行時や複数の乗員を乗せている場合、この傾向はより強くなります。また、高速道路での追い越し加速や合流時にも、もう少しパワーが欲しいと感じる場面があるでしょう。
雪道や泥地などの滑りやすい路面でも、十分な駆動力を得るために高回転まで回す必要があり、パワー不足を実感することがあります。さらに、重い荷物を積載した状態での走行では、車重増加によってさらにパワー不足感が増幅されます。
これらの状況に対して、いくつかの実用的な対策があります。
一つ目は、ドライビングテクニックの工夫です。MT車であれば、エンジンの回転域を適切に維持することでパワーバンドを活用できます。上り坂ではあらかじめダウンシフトしておくなど、先読みの運転が効果的です。AT車でもマニュアルモードを活用して、同様の対応が可能です。
二つ目は、積載量の調整です。不要な荷物を減らすことで、車両の総重量を軽減できます。特に長距離ドライブや山岳路での走行前には、積載物の見直しをすることをおすすめします。
三つ目は、アフターパーツの活用です。マフラー交換やECUチューニングなどで、多少の出力向上が見込める場合があります。ただし、保証への影響や法規制には十分注意してください。
最後に、ターボ仕様が将来的に登場する可能性を考慮すると、パワー不足に強く悩まされている場合は、次期モデルを待つという選択肢もあります。前述の通り、2026年には140PSのターボエンジンを搭載したモデルが登場する予定です。
このように、ジムニーノマドのパワー不足は確かに存在するものの、適切な対策や使い方の工夫によって、多くの場面で十分に楽しめる車であることに変わりはありません。パワー不足を補う個性的なデザインや実用性を評価して選ぶユーザーも多いのが現実です。
総括:ジムニーノマドはやっぱり非力?パワー不足を感じる場面と対策
この記事のポイントをまとめます。
- ノマドは1.5L直列4気筒エンジン(K15B型)で最高出力102ps、最大トルク130Nmを搭載
- シエラと同じエンジンだが、約100kg重いため相対的にパワー不足感がある
- 5速MTと4速ATが選択可能だが、特にAT車は燃費性能が劣る
- 山岳地域や雪道での4WD走行時にパワー不足を強く感じる
- 全長が340mm延長され、ホイールベースも2590mmに拡大されていることが重量増の要因
- 重量増加により燃費が低下し、小回りも悪化している
- 5ドア化により後席の居住性と乗り降りのしやすさは向上した
- ランプブレークオーバーアングルの減少により、オフロードでの障害物接触リスクが増加
- 最低地上高は従来モデルと同じ210mmを確保している
- 2026年に予定される新型ジムニーノマドスポーツは140PSのターボエンジンを搭載予定
- 将来的に48Vマイルドハイブリッドシステム搭載の可能性もある
- MT車ではエンジン回転域を適切に維持するドライビングテクニックが有効
- 積載量を減らすことで総重量を軽減し、パワー不足感を緩和できる
- マフラー交換やECUチューニングで多少の出力向上が可能だが保証や法規制に注意
- 街乗りでは現行の自然吸気エンジンでも十分な性能を発揮する